めざすもの
アブダクション研究会のめざすもの(概要)
=地球規模の難題へのアプローチの方法を模索する=
1.知識の広域化・高次化と資源の節約化へ
[1] 多様な姿をもつ自然の破壊や自律的な人間の精神の荒廃を伴う地球規模の難題が様々な時間・空間のスケールで生起している.これへの対処が喫緊の課題である.
○地球環境問題 ○資源・エネルギーの枯渇 ○貧富の差の拡大
○人口の爆発 ○難病の発生 ○災害や事故の巨大化
○民族・宗教・文化・政治・経済をめぐる対立と紛争の激化
○凶悪な犯罪やいじめ・虐待行為の多発 など
[2] 地球規模の深刻な問題群に有効に対処するためには,人間の営みを, 知識の領域化と資源の集約化に基づくものから,知識の広域化と資源の節約化に基づくものへと転換しなければならない.
人間の領域的な知による営みの間に共通する広域的な知を発見し,更には, より高次の領域的な知を創造して,実践に移し,人間の生存の営みを,より高次の領域的な知に則したところの,互いに矛盾がなく,連続性のあるものとして,実現しなければならない.
2.『融合学』ともいうべき科学の知の構造化を探求する
[1] 自然や環境に働きかける人間の営みが依存している科学という『知』の探究には,①演繹(DEDUCTION)という必然的な推論の観点に基づく,分析的な『貫く知』の過程("penetrating knowledge process")の研究と,②帰納(INDUCTION)およびアブダクション(ABDUCTION・仮説設定)という蓋然的・構成的な推論の観点に基づく,統合的な『連ねる知』の過程'("connecting knowledge process")の研究がある.
[2] 持続的な生存を図るためには,両方が対立し相克せずに,相補的に発展する必要がある.自然や環境の部分への分析(ANALYSIS)と全体への統合(SYNTHESIS)を調和させる『融合学』("FUSIONOLOGY")ともいうべき,科学の知の構造化をめざして探求し続けなければならない.
[3] 演繹によるシンボル的な分析によって,多様な領域的な知を発見し,帰納によるイメージ的な統合によって,領域的な知AとBの間にA→BおよびB→Aの2方向の広域的な知を発明する.そして、アブダクションというシンボル的な高次の統合とは,2方向の広域的な知を相互に還流して,互いの接点をすり合わせ,方向の違いによって変わらない,ラティスの構造として表わされるところの,より普遍的な,理論仮説としての高次の領域的な知を創造することである.
アブダクション研究会
代表 福永 征夫